学ぶ 書籍

タルムード -ユダヤ人の成功哲学-

これから「学び」のシリーズとして、私が読んで刺激を受けた本の紹介をします。

最初は、石角完爾(いしずみかんじ)著、「ユダヤ人の成功哲学『タルムード』金言集」

2012年に発売された書籍ですが、今年(2021年)第7刷発行と超ロングランの本です。

復習しながら書いていきますので、お付き合いのほど宜しくお願いします。

タルムードとは?

タルムードは、モーセが伝えたもう一つの律法とされる「口伝律法」を収めた文書群である。6部構成、63編から成り、ラビの教えを中心とした現代のユダヤ教の主要教派の多くが聖典として認めており、ユダヤ教徒の生活・信仰の基となっている。ただし、聖典として認められるのはあくまでヘブライ語で記述されたもののみであり、他の言語に翻訳されたものについては意味を正確に伝えていない可能性があるとして聖典とはみなされない(出展:Wikipediaより)。

ユダヤ人が5000年もの間語り継いできた説話集である。その内容には、人生で起こるあらゆる「災難(リスク)」に対し、どのように捉え、対処するかについて、自ら考えることを「示唆」するものである。なかには「教訓」として捉えられ説話もあるが、自ら考えることで、複数の答えを引き出すことができる。ユダヤ人のお母さんの子育てには、必ずこのタルムードを子供に聞かせる。「あなたならどうする?」とか「なぜ、そのように考えたの?」と、「質問」を繰り返しする。このコミュニケーションを積み重ねることで、子供達が「災難(リスク)」にどのように対処すべきか、あらゆる視点から事柄を考える訓練を積ませているのである。

そういう意味では、ユダヤ人には「想定外」という言葉はないのである。

著者について

著者である石角完爾氏は国際弁護士であり、日本人からユダヤ人になった変わった経歴の持ち主である。ユダヤ人に変わるということは、ユダヤ教徒になることである。それはユダヤ教へ改宗することも意味する。石角氏いわく、「宗教指導者であるラバイの下で、四年間厳しい勉強をし、ユダヤ教徒になるために必要ないろいろ儀式の他、自身を火葬しない誓約書の提出に加え、妻も改宗のうえユダヤ式の結構式を挙げた。割礼手術もした。」(出展:本書より)とのこと。なぜそこまでしてユダヤ教徒になったのか?......、それは本書を読み進めて行く中で、少しずつ理解することができました。

次に、私が好きな説話を、いくつかご紹介します。

魔法のザクロ

この説話のサブタイトルは、「ノーペイン・ノーゲイン(犠牲なくして成功なし)とあります。私が好きで、更にモットーとしている言葉が「No Game, No Gain(行動なくして利益なし)」です。なんとなく似てますよね.......、でも少し違うんです。

あるところに仲良しの三人兄弟がいました。その兄弟は大人になり10年間の修業をするため、東・西・南にそれぞれ旅立ことになりました。また「世界でもっとも不思議なもの」をそれぞれ見つけてくることを約束をします。一番上の兄(東)は、世界の隅々まで見渡せる不思議なガラスのコップを。二番目の兄(西)は、空飛ぶ絨毯を。一番下の弟(南)は、不思議なザクロの実を。兄弟は10年後、それらを持って帰ってきました。ある時、世界の隅々まで見渡せるガラスのコップで眺めていると、ある国のお姫様が重病である姿が見えました。傍らで王様が、「誰か治してくれる者はいないか」と嘆いていました。兄弟は急いで行こうと、魔法の絨毯に乗って飛んでいきました。そしてお姫様は、一番下の弟が持っていたザクロの実を半分食べたのち、すっかり元気になったのです。王様は、「三人の兄弟の誰でも、姫と結婚して良い。話し合って決めなさい」とのこと。

ここからが重要になってきます。姫が「私に質問させてください」と割って入ります。まず一番上の兄に対し、「世界の隅々まで見渡せるガラスのコップは、今でも元のままですか?」と。一番上の兄は「はい」と答える。次は二番目の兄に、「魔法の絨毯は、今でも元のままですか?」と。二番目の兄は「はい」と答える。姫は一番下の弟にも同様の趣旨の質問をします。そして一番下の弟は、「はい、半分お姫様に差し上げましたので、今は半分しかありません」と答えました。そこで姫は、「私は、一番下の弟と結婚します。彼は私のために大切なザクロを半分失ったのですから」

著書は、「大切なものを失わなければ何も得られない。これがユダヤ人が肝に銘じている、金に関する大原則」と言っています。例えば株式投資。「株式投資はまさに国の隅々まで見える望遠鏡(情報)、ないしはいち早く飛べる魔法の絨毯(手段)である。言い換えれば情報と手段だけで金儲けをしようとする。自分は何も失うことをせず、人の知らないことを知っているからと、特別の情報に基づいて儲けようとする。自分だけ儲けるために、誰よりも先に情報を知りたがる。かっての村上ファンドなどがそうであった」(出展:本書より)と。現在退職後の第二の人生、何をするべきかとYoutubeやSNSを模索してみると、「すぐに儲かる仕事」とか、「このセミナーに参加すれば億人になれる」など、ちまたに溢れていることに気付きます。安易に話にのり、結果大金を騙し取られる人が多くいるようです。それだけ人間は楽して「金」を欲しがり、「金」の魔力、欲望の渦に飲み込まれていると感じます。

努力なくして成功は得られない!これが人生の道理。「まぐれ」で得た成功は、長続きしません。

難破船の三人の乗客

これはとても有名な説話。リスクを如何に計算し行動することが出来るか、ライフ&ビジネス成功への分かれ道になります。

ある時帆船が嵐に遭って難波し、フルーツがたわわに実る無人島に流れ着きます。船はその島で修理を済ませてから出航することになりました。三人の乗客がいました。三人とも嵐の中で何日も食べていなかったので、空腹状態でした。

乗客Aは、いつ修理が終わるかわからないので、取り残されたら大変だと船から一歩も降りず、空腹を我慢することにします。また別の乗客Bは、船が見える範囲内でフルーツを食べ、修理が終わった段階で急いで船に戻ってきました。お腹いっぱいにはなりませんが、空腹を解消し、フルーツで水分補給もできました。そして乗客Cは、船の修理はすぐに出来るはずはないと思い、島の奥まで入っていき、たらふくフルーツを食べました。しかし戻ってきた時は船が出港した後で、島にひとり取り残されてしまいました。船を降りなかった乗客Aは、その後航海中に体力の消耗がひどく死んでしまいました。そして島に残った乗客Cも無人島から脱出できず、そこで一生を終えることになりました。あなたは、どのタイプですか?

本書では、適正なリスク計算をするこが、人生で生き残っていくためにとても重要であると示唆しています。何事も始める際に、リスクばかり考えて小さく行動(ローリスク)しても結果は小さい(ローリターン)。逆にリスクを考えずに大きく行動(ハイリスク)することで、思わぬ結果になってしまう(ハイリターン or 破滅)。後半は日本人がしがちな「いちか、ばちか」的パターンに近いですね。ユダヤ人は違います。

ユダヤ人は常に一番リスクが小さいのはどれか、そして最低限でも何らかの成果を得られるかを考え行動します。更にそれを継続することで、富を積み上げて行くのです。

まとめ。

ユダヤ人は一神教の教えを守りながら、人生においてリアリストである。一神教であれば信じる神からの教え(旧約聖書)が唯一無二であるはずが、「タルムード」のような人生で起きるリスクを想定し、自ら考え判断することを訓練しているところは、とてもクールだと私は感じました。「ユダヤ人は世界で起こる不幸を一番先に予知し、一番最後に幸福を知る人々である」といわれているそうです。これはユダヤ人のものごとを捉える視座が、本質的な客観性を持っているからだそうです。よく「客観的に物事を見る」といいますが、結果的には自分(主客)が見る方向や見方を変えるだけで、物事の本質側に入っていない。主客一致していないため、適切な解が見いだせてないと感じます。

著者いわく、「ユダヤの説話や格言は、庶民の一人ひとりが豊かで幸せな生活を送れるように、具体的な手ほどきに満ちている。」と、更に「ユダヤでは、5000年の歴史の中で、金銭的・物質的に満たされることと幸福(Happiness)とは関係ないと教えて来た。ユダヤの教えでは幸福とは幸福感のことだ。」と。現代は、グローバル化による経済的格差の広がりと、更に追い打ちをかけるようにコロナ禍によって、将来に対する不安感が増大し、刹那的な世の中になりつつあるように感じます。しかし今、ユダヤ人が歩んできた苦難の道やそのような中でも力強く生き抜いて来た歴史や知恵を学ぶことによって、自らのモチベーションを高めていくことが出来ると確信しています

「どんなに裕福な金持ちであっても、助け合いの心を持たない人間は、豪華な料理に塩がないのと同じである」(ユダヤの格言)

自分に置き換えてみる。

今年34年勤務した会社を早期退職しました。「難破船の三人の乗客」の説話で考えると、乗客A?乗客B?乗客C?、どれに当てはまるのか?まだ結果が出ていないので分かりません。また第二の人生を切り開いていくならば、「ザクロの実」の説話のように「ノーペイン・ノーゲイン」、犠牲なくして成功なし......です。

早期退職は、(ユダヤ人のように)悩み、苦しみ、リスクを考え、そして出した結論です。もしかすると、難破船の「新たな乗客D」かもしれないと思うときがあります。いづれにしても、第二の人生の目的は、更に「世のため、人のために役立つ事柄」に従事すること。退職後はありがたいことに、あらたな刺激(情報、人脈、学び、知恵.....etc)が加速度的に増加しています。「捨てる覚悟」があって、はじめて「得るものがある」ということを、実体験しているところです。

「すべてを捨てる覚悟が道を拓く」(出展:本書より)

最後に。

初めて本について、書いてみました。

これから私が読んでみて、学びがあったり楽しかったりした本を紹介しますね。

これからも継続的に学び、更に高みを目指します。

皆様が、何時も元気で、明るく、幸せな生活でありますように!

感謝!

-学ぶ, 書籍

© 2024 力郎 Powerブログ